北南米最大の食祭典「ミストゥーラ」〜肉編
山本小鉄に似たその男は、動きを止めることを知らない。
恐らく、20時間以上動き続けているのではないか。
開店前は、マラスの塩を使った塩水に浸けた、豚肉の味の染み具合を調べ、焼く段になれば、 薪火かけた何枚もの豚背開き脱骨の「豚の開き」の焼き具合を常に見て回り、色や脂の落ち具合でくるりと回転させてが逆の面を焼く。
さらには適時薪を足しては、火の調整をし、焼き上がれば、切る指示を出し、
ある時は脱骨の様子を確認する。
こうして焼き上がった皮付き豚肉が目の前にある。
皮はパリンと砕け、皮下のコラーゲンがにゅるりと舌に甘え、肉はしっとりと歯にもたれかかる。
もう四の五の言わずに、「うまいっ」と叫ぼう。
「カハチーナ」と呼ばれる中部地方砂漠地帯の郷土料理。
なんとこの規模の出店が三軒もある。