インドで考えた③

食べ歩き ,

インドで考えた③
「サクッ」。
軽い衣が破れると、くたくたになったカリフラワーがとろりと崩れ、ムースのように舌に甘えてくる。
なんて甘いのだ。
カリフラワーがこんなに甘いとは、今までの人生で、誰も教えてくれなかった。
スパイスをまぶされ、バターを含んだ衣を着て、揚げられ
串刺しにしタンドールで焼かれたカリフラワーは、驚くほど甘い。
火の力。
タンドール料理の名店「ブカラ」の
TADOOLI PHOOL。
イガが割れて栗が顔を出す。
これを「栗が笑む」というのだそうだ。
笑んだ栗を取り出すと、表面が朝露を浴びたように濡れていて、
初々しい。
野生の栗ゆえに小さいので、
茹でて、皮ごと口に放り込んで、つぶすように食べる。
小さいながらも甘く、秋の香りに満ちている。
インドで考えた2
インドで最初に口にしたのがこれだ。
「ブカラ」の突出し、紫玉葱のチャットマサラがけ。
生の玉葱スライスに、チャットマサラをふりかけましたというだけのものなのだが
やたらうまい。
単純なようでいて、玉葱の刺激に、チャットマサラの塩分やドライマンゴーの酸味、
そして複雑な香りが混ざった、カレー的複合体のうまさがすでにある。
クミンのエキゾチックに、ヒングの温泉香が入った感じもいいのだな。
やられたぜ。と、ワシワシ食べ、当然おかわりしたのである。