羊モンゴル料理である

食べ歩き ,

モンゴル料理である。その辺でジンギスカンを食べ、
「羊って食べられなかったのに、これならおいしいわぁ。全然臭くないもん」などとほざいている奴らに食わせたい、これぞ羊である。

なにしろ店に入ったとたん羊臭いのだ。

チンギス・ハーンの肖像や草原の絵が飾られ、モンゴル語の歌声や馬頭琴の音も賑やかな店内のテーブル6卓の上は、羊、羊、羊。厨房も羊、羊、羊。

まずは蒸し餃子。むっちりした皮を噛めば、豊富な肉汁がぽたぽたとにじみ出て、強い羊の香りが口いっぱいに広がる。

もともと餃子は羊肉で作っていたというが、この個性たまらん。そして次に運ばれたのは迫力の羊のうま煮。

出た。羊肉のうま煮である。圧力鍋にて塩だけで茹でた肉塊だぁ。店主ナーリンさんの息子さんが、手とナイフで切り分けてくれる。

かぶりついてかみ締める、奥歯でぎゅぎゅうとかみ締めれば、荒々しい滋味があふれ出る。肉食らってるぞぉとさけびたくなる、これぞ羊。ジンギスカンなんてちゃんちやらおかしいぜぇ。

「肩肉のほうが味濃いね」などとほざいて、46度の牛乳蒸留酒をストレートであおって、消化促進。あごが疲れるがもう勢いは止まらん。羊だ羊三昧だぁ、次は鍋だぁ。鍋である。羊骨からだしを取ったというスープは、琥珀色。色合いも味も澄んでいる。体を芯から暖めるような、深く優しい滋味があってなんともうまい。

薄切りの羊肉をしゃぶしゃぶすれば、スープが一段とうまくなって、乳酒ピッチ進む。

ここにうどんを入れるとうまかろうなと思っていると、出ましたすいとん。目の前でちぎって入れる入れる。

もっちりとした食感とスープの相性よく、一気呵成。モンゴル万歳。