煮込みが優しい。

食べ歩き ,

煮込みが優しい。
空きっ腹にスルスルと入って、心を温める。そんな煮込みである。
西中島「あらた」に入って席に座ると、自動的に出されるのが、この煮込みである。
常連に人気らしく、一人で三回お代わりして、「よう食べはりますな」と親父さんに言われている人もいた。
次に人気がコールドタンらしい。
茹でて厚切りにして冷やしたタンである。
しかし茹で汁や茹で方、タンの質に秘密があるらしく、分厚い身に歯が入っていくと、タン本来の甘みがにじみ出てくる。
一人一皿という不文律があるらしい。
隣の広島から毎月来ているというおっちゃんは、2〜3皿食べた後、満を辞したかのように「コールドタン」と声を弾ませた。
「一人なら、ネックスモークと半々にできますけど」と息子さんがいうと、
「いや好きだから一人前」と、また声を弾ませた。
嬉しそうに食べた後、静かにしていたが、いきなり
「すいません。コールドタン」という。
息子さんが苦笑いして、親父さんの様子を伺う。
「二回言う人キライやねん」と、親父さん
「ゴメンね。好きやねん」と、おっちゃん。
「一応違反行為やで」と、親父さんは言いながら、コールドタンの塊を切り出した。
そしてこの店では、謎のハイボールがある。
何もラベルが貼ってないボトルに入れた透明な液体を、コップになみなみと注ぐ。そして申し訳程度のジンジャーエールを注いで表面張力。口から迎えに行かねば溢れちまう。
とにかく飲みやすい。
「お酒と同じ度数に合わせてあるから、気をつけてね」と、お母さんがいう。
おそらく甲類焼酎を15〜6度ほどに加水しているのか。
三杯飲めば、いい感じになってくる。

そのた大阪西中島「和風もつ料理あらた」のめくるめく内臓料理は