鮎といちじくは、前世で恋仲だったに違いない。
二人は、そんな気配を漂わせていた。
子持ち鮎の塩焼きに、いちじくを合わせる。
初めて食べる出会いだった。
子持ち鮎の下には、甘酢で和えたムカゴ入りのジャガイモが潜んでいる。
あゆを食べる。
青い香りが放たれる。
庄川で育つ、優れた鮎が持つ香りである。
ジャガイモの甘みがあゆを受け止める。
今度は鮎と、オリーブオイルであえた賽の目切りのいちじくと一緒に食べてみた。
ああ。
途端に目が覚めた。
いちじくの甘酸っぱさが鮎の滋味と出会う。
いちじくのみずみずしさが、鮎を抱く。
途端に清流へと気分が飛ぶ。
鉢の中に置かれた鮎が、跳ね上がり、清い水しぶきをあげる。
鮎の爽やかな苦味と香りが、いちじくの上品な甘みとほのかな酸味が、互いを見つめ合い、微笑んでいる。
それは恋人同士が交わす、柔らかな眼差しだった。
富山 高儀「楽土庵」にて
富山「楽土庵」
鮎といちじく。
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