クエの優美。

食べ歩き ,

焼き色がうっすらとついた白身魚が皿に乗っていた。
傍には茶が混ざった、深緑のソースが流されている
奥には茶色四面体が置かれている
これはなんだろう?
魚はクエである。
骨つきのまま焼き、オーブンから出して休ませたのだという。
クエは、体内のエキスを漲らせて、少し膨らんでいる。
ナイフを入れた。
噛む。
張りのある肉体に歯を入れる。
うまみが次第に顔を出し、くちのなかをみたしていく。
そこへソースを合わせる。
甘夏とバジルと梅を合わせたという液体は、爽やかさと甘酸っぱい香りで、鼻を揺らし、後口に酸味がほのかに広がる。
ソースとクエを抱き合わせると、クエの凛々しさが和らぎ、エレガントへと向かう。
このアスリート の中に秘めた、繊細なエロスを引っ張り出すかのように。
そこへマルセルダイスのリースリングを参加させれば、白い花やレモンの香りが吹いて、クエが持つ、たくましさとエレガントという両面を、くっきりとさせるのだった。
北品川「カンテサンス」にて。
写真はイメージ
追記、四角いのは焼きとうもろこしガレットだつた。
中も茶色のに、味わいは、素直なとうもろこしの新鮮な味わいがする。