今から52年前、ラーメン好きの亀山君に連れられて、地元の店の暖簾を潜った。
そして腰を抜かす。
料理とは、熱いものを熱く、冷たいものは冷たく食べると信じて生きてきたのに、それが冷たい麺を熱いスープに浸して食べろというではないか。
恐る恐る食べて、一気にハマった。
中野「大勝軒」へのデビューである。
いつも麺のおかわりを、三玉はしていた。
普段あまりラーメンは食べない。
だがここの味は染み付いているので、今でも時折、妻に「少し出かけてくる」と言って、こっそり食べている。
あれから約半世紀、「大勝軒」に変化が起こった。
アメリカから帰って店を継いだ三代目が、昔の味を復活させたというではないか。
試行錯誤を繰り返し、2代目にに味を見てもらい、1951年以来の昔の味わいを再現させたという。
早速食べてみた。
スープのコクが深い。
深いが丸く、後味がしつこくない。
今はほんの微量唐辛子の辛味が、気がつかない程度あったが、それもない。
ああ大学一年の時食べたのはこれだと、胸が弾んだ。
チャーシューも、うまくなったように思う。
ただ昔の方が、細く切られてように思うが。
食べているうちに、大学時代の体育会の友人と競い合うように食べていた光景が、思い浮かでくる。
そして大盛りを食べてお腹いっぱいになったが、意地でも麺のお代わりを頼みたくなったのであった。・