銀座「ウェスト」

トーストか生か。白パンかライ麦か。

食べ歩き ,

クラシックを聴きながら食べるサンドイッチは、たおやかな味わいになる。
「サンドイッチは、白バンかライ麦パン、そのままかトーストをお選びいただけますが、いかがいたしましょうか?」
「銀座ウェスト」で、サンドイッチを頼むと、必ず聞かれる。
僕は迷いなく
「白バンをトーストでお願いします」。
と、答える。、
「ハム野菜サンド」が運ばれた。
薄切りトーストに、バターとマスタードを塗り、ハム2枚とレタスを挟んである。
「お好みで、お塩かレモンをかけてどうぞ」。
この場合、ハムかレタス、どちらを下(つまり舌側〉にするかで、味わいが変わってくる。
さらには「スタンディング」といって、皿に置かれた状態を崩さず、バンを左右にして食べるやり方もあるが、僕はあまり好まない。
最初は何もかけずに、次はレモンや塩を試してみよう。
レモンはバターの重さを和らげて、軽やかにしてくれる。
そのためハムにかけて食べるのがいい。
バター風味を感じたいなら、かけないか、ハムとレタスの間に垂らすといいだろう。
塩は、ハムにかけたい。
ハムの風味がグッと強まって、食欲をくすぐり出す。
さらには、飾りのパセリを挟むのもいい。
ハムの上に、茎を取った、葉だけを乗せる。
すると、ほのかな苦味が、趣を膨らます。
耳を澄ますと、ショパンのピアノ協奏曲が流れてきて、サンドイッチの味わいを、たおやかにするのだった。
銀座「ウェスト」にて