地元・沼袋「鮨中乃見家」。
二代目が握る庶民的なこのすし屋は、創業78年になる老舗である
亡くなられた初代は、今は無き中野坂上の「中乃見家」で修行し、現在の地に店を出した。
店名の由来は、主人が旧練馬村字中宮の出身であったためだ。
この主人の元で修行したのが、京橋「与志乃」初代、沼袋「鮨中乃見家」初代、北区尾久の「中乃見家」初代ということになる。
ご存知京橋「与志乃」は、「すきやばし次郎」小野二郎、「鮨水谷」水谷八郎、「鮨松波」松波順一郎という稀代の職人を輩出した店だ。
ただその三店は、改良と洗練を重ね、往時の姿を伝えるのは「京橋 与志乃」(二郎さんの兄弟子に当たる)」かもしれない。
さて、沼袋「鮨中乃見家」だが、気さくに飲るには最高である。
平目の昆布〆、〆サバ、血潮が香るマグロの赤身、子持ち昆布、平目の煮こごりで、三合ほど飲んだ後に握りを。
赤身、手綱に握られた小肌、青柳、煮蛤、穴子といただいて、鉄火巻と干瓢巻。
特に、昔ながらの焼き方を守るという海苔の香りが素晴らしく、マグロの鉄分の香りと酢飯の香りが共鳴しあい、幸せが滲みよるのであった。