平安なる料理。

食べ歩き ,

静かな静かな料理だった。

噛めば噛むほど、

食べれば食べるほどに、平安が訪れる。

塩気はほとんどなく、ほのかな甘みか、密やかにたゆたっていた。

味わえば味わうほどに、舌が洗われていく。

大根の真味は、なになのか。

大根と気持ちを交わせるのか。

そう料理が問うてくる。

大根を細い短冊に切り、エゴマ油、少しの生姜と塩を合わせ、鍋に入れる。

そのままじっくりと炊いていくと、大根は、自ら滴り落とした汁の中で炊かれていく。

炊き上がった大根は、熱々ではなく、冷ましてからと器に盛られる。

その方が、味がくっきりと感じられるからだろう。

大根一つでこんなにも慈愛に満ちた料理を作る。

静かだが、心を目覚めさせる料理だった。

韓国 内張山国立公園内にある7世紀に建てられた寺院である白羊寺にて。

尼僧チョン・クワン氏の料理を食べて。