会いたい人がいるから福井〉2

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<会いたい人がいるから福井〉2
福井の南にある三方五湖は、日本農業遺産に指定された、「たたき網漁」で淡水魚を撮ることで知られている。
4メートルに及ぶ竹竿で湖面を叩いて湖底に棲む魚が驚かせ,刺し網に追い込んでいくという,伝鳥漁法である。
江戸時代から行われてきたとされる漁法だが、この地域も老齢化で,一番若い方が70歳となり,もう6人しかいないのだという。
なんとかこの漁法をつなぎたい。
そう思った田邊さんは、代々の家を改築して料理屋を始めることにした。
自らたたき網漁で魚を獲り,店で出す。
あるいは老齢の漁師さんの収穫を買い支える。
そうしながらなんとかこの漁法を,次世代に繋げていきたいと考えておられた。
田邊さんは、消防士である。
なので休みの日に漁に出かけ,料理屋を手伝う。
巨大な鯉を鮒を、鰻をいただいた。
いずれの魚も,生命の躍動感を感じさせる味だった。
「最近,消防士より漁師の格好の方が似合うよと言われちゃうんです」。
田邊さんはそう言って、嬉しそうに笑うのだった。