ブリがないと、正月がはじまらん。
刺身に焼き物、雑煮もブリ。焼いた塩ぶりを入れるんですね。
すると、ブリから脂と血合いの酸味が徐々に滲み出て、次第に味わいが深く、幸せに向かって満ちていく。
ほら椀の上面に、ブリの脂が浮いているのが見えるかな?
塩ぶりの塩味と味が濃くなるのを引き算して、つゆの味を淡く仕立てるのがコツといえばコツ。
後は、出汁で炊いた聖護院カブと金時人参、焼いた餅に蒲鉾、ほうれん草、柚皮に、登場を願おう。
どれが欠けても、ドラマは成り立たない。
元旦を盛り立てる、名俳優たちの共演、いや共鳴なのです。