初サケガシラ

食べ歩き ,

初サケガシラである。
タチウオに似た魚で、長いものは3メートル近くになる。
左の写真が台湾の市場で売られていたサケガシラで、右は鍋仕立てにされたサケガシラである。
顔つきがびっくりしたというか、断末魔の悲しみに満ちていて、そのため武士が頭をかち割れた表情に似ていることから「割け頭」と呼ばれたという命名説もある。
別に好き好んでこんな顔に生まれたわけではない彼には、ありがたくない命名だが、もう一つ不気味な話もついている。
深海魚のため底引きには引っかからないのだが、なぜか網に引っかかる前後には、地震があるという迷信である。
まあそんな魚の味はどうなのか? と、台北の海鮮料理屋「亀山島」で頼んでみた。
鍋の余熱で、魚がプルプル揺れ続けている。
こんな光景は見たことがない。
小人が鍋の下に隠れて、揺すっているのかと思うほど、揺れ続けている。
全身これ二の腕状態の魚は、箸でうまくつまめない。
表皮はヌルヌル、体はプルプルなために掴めない。
レンゲですくって口に運べば、想像通り全身これコラーゲンである。
どこが皮か、皮下か、身かわからないほどプルプルである。
プルンプルンと舌の上を転がり、ほの甘い。
柔らかな、自然の甘みがある蒟蒻ゼリー、あるいは、キンメの皮下が巨大化したような食感で、心地よい。
にんにくを効かせたスープで煮られていたが、これは醤油とみりんで、少しだけ生姜を効かせて煮付けにすると、間違いなくおいしいと思った。