金沢「御料理 雅乃」

もうこうした料理人は、少なくなってしまった。

食べ歩き ,

「自分は、マスコミ露出とかミシュランの星とかまったく興味がないのですが、弟子たちが星を取ったり、有名になると嬉しくてしょうがないんです」。
若くして「銭屋」の料理長となり、天才と呼ばれ、数多くの弟子を輩出した下平さんはそう言って、我が子のことのように目を細められた。
そういって、富山「ふじ居」の藤井さんや、金沢「小松」の小松さんのことを話された。
「藤井さんも小松さんも、誠実さが仕事にも貫かれていて素敵な人たちだと思います」。
そういうと
「そうですか」と言って、嬉しそうに微笑まれた。
心底弟子のことを思い、愛されているのだろう。
「銭屋」をやめられて20年、純熟した料理は、一点の揺るぎもない。
高級食材に頼ることなく、どうだすごいだろうという威勢もなく、力が抜けているようで奥底に輝く凄みを隠し持つ。
さらりと流れていくが、 ある意味怖い料理でもある。
カウンターで話を交わしながら、一斉スタートではない別々の料理を、淀みなく力みなく作っていく。
もうこうした料理人は、少なくなってしまった。
「御料理 雅乃」の夏。
★蛸とたたきオクラの酢の物 振りゆず
夏。塩梅が見事に決まっている。酢地の美味しさ
★椀物  能登の鱧と加賀太きゅうり豆腐
胡瓜の青い香りがまだ脂が載っていない鱧の若さと共鳴する。
★お造り
赤いか マグロ炙り
★バイ貝
★鰻と枝豆の飯蒸し
★鰯つみれ汁
濃さと薄さの塩梅が素晴らしい。熱々。味が澄んでいる。
★口子半生
宗玄の燗が進んで困る
★冬瓜と白芋の炊き合わせ
しみじみとしみじみと夏のありがたみが伝わる
★鮎塩焼き
★湯葉炊き
豊かさとはこういうことだ、
★自家製胡麻豆腐揚げ 葛 地の美味しさ。F B参照
★茄子と茗荷の焚き合わせ
無茶苦茶おいしい、油と出汁加減の精妙
★かけうどんと、とうもろこしご飯。
かけうどんのつゆの淡いが深いうま味。
★水羊羹
口溶け感のギリギリさ。
★抹茶