京都「殿田」 真冬のけいらん <京都の平生>53 2022.02.20 食べ歩き , 和食 , 京都 , 卵 , うどん ひやむぎ そうめん、きしめん Tweet 溶き卵が、うどんにしなだれる。 葛あんが、うどんにまとわりつく。 僕は、ふうふうと息をかけながら、すすり込む。 玉子の甘みがやってきて、出汁の旨味が広がり、その中を楚々としたうどんが登っていく。 ぬるん。てれん。 たまごや葛あんの粘りが、唇を優しく撫でる。 生姜を溶けば、体を熱くし、ネギとすすれば、鼻を元気にする。 玉子、葛あん、うどん、生姜、ネギ。 五つのものが織りなす小宇宙が、永遠を作り出す。 真冬の「けいらんうどん」には、慈愛がある。 京都「殿田」にて。