駅弁勝負
今日は負けを覚悟していた。
なにしろ発車数分前にホームに着き、ホーム売店で即断即決して買ったからである。
当然ながら、会社の選択肢はなく、長年お近づきを遠慮している「JR東海パッセンジャーサービス」謹製の弁当を買った。
特製幕之内弁当 1380円。
いい価格である。
表には、「関東、東海、関西の味を一度にお楽しみいただけます」と、記されていた。
蓋を開ければ、上段関東、中段東海、下段関西と分かれている。
これは酒のつまみにして、後でご飯という段取りがよかろう。
さてそれぞれのおかずをつまみ食いしてみる。
東海エリアは、真っ黒に染まったソース漬けのエビフライが下品極まりなくよく、鶏の腿を使った煮物もしつとりとしていい。また甘辛煮にした牛肉も味濃く、ブレがない。
関東では銀鮭塩焼きか。
関西では、濃い味に炊かれたタコが柔らかく、黒豆甘露煮もいい。
だか、なぜ関西が黒豆甘露煮なのか、知っている人がいたら教えてほしい。
関東の野菜煮やがんもどき、関西のさつま揚げ煮は、遠くからケミカルな味が押し寄せてきて、忍耐を学ぶ。
味噌カツは、味噌が三分の一しかかけられてないため、味噌のかかっていない味気ない部分を食べたら、直ちに味噌かけ部分を食べるというテクニックが要求される。
玉子焼きは、残念ながら私の未熟な舌では、玉子の甘みが確認できなかった。
東海の中段向かって右端の切り干し大根煮は、この地方では、普通の大根煮をそう呼ぶのだというのだろうか?
どう考えても切り干し大根ではない上に、寄りかかったパプリカの香りしかしない。
また揚げ粟麩と生湯葉の組み合わせは、最後まで意味を見出すことはできなかった。
関東は炊き込みご飯に、深川飯風あさり煮と青海苔、東海は、白いご飯に錦糸卵と牛うま煮のせ、関西は梅ちりめんご飯。
ご飯自体の力が弱いところに味つけちゃったので、ごめんなさい。
さて隣の60代紳士は、JR東海パッセンジャーサービスの「焼売中華弁当」である。
焼売好きなのね。わかるよその気持ち。
でも、やっちゃったね。
大ヒット商品「シウマイ弁当」に、挑んだのかもしれないが、逆に「シウマイ弁当」の良さを際立たせる皮肉な結果となる弁当である。
シウマイ弁当ファンなら、別の意味で一度は食べてたい。
これなら私の勝ちである。
そう言いたいが、同じレベルで引き分けだろう。
引き分けでも、大変わびしい引き分けなのであった。
JR東海パッセンジャーサービス。
ご飯 1おかず 1価格1箸25特記野菜煮物1ご飯 郷土色か個性点ノスタルジーなし。総計5点>