お好み食ってから、彼が子供時代からなじみだという「丸中肉屋」に向かった。
「おっちゃんいる?」と,おばちゃんに聞くと、中からおっちゃんが出てきて、
「おう、お前か。いま揚げたるわ」と火をつけ、田島商店街名物、一日に300個近く出るというコロッケを揚げ始めた。
揚げきりよく、狐色に香ばしく揚がった衣に歯を当てれば、カリッと音が響く。イモの甘みとスジのうまみが口いっぱいに広がって、思わず顔を崩す。
塩もソースもつけなくとも、充分にうまい。
「おっちゃんうまいわ」。
「別になにも珍しいことしてへんけど」
七十円の幸せ。実直な庶民の力。いいなぁ。
大阪の安うてうまい2
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