「キッシュ」と「かぼちゃのポタージュ」。
特段珍しくない料理だが、ここにきて食べれば、ああ、フランス料理を食べにきたという思いが募る。
キッシュはポワローの甘みとアパレイユの混ざった感じに目が細くなり、おそらくジャガイモやポワローも入ったポタージュは、カボツアの甘みを出しながらも野暮ったくなく、洗練された甘さになっっている。
そして「タラバガニのクレミューズブリニを添えて」は、蟹身を乗せて食べれば、痛快になり、鶏の香りが漂う「ホロホロ鶏のパテアンクルート」は、生地の豊かな味わいに惚れてしまう。
そしてFBにも書いたムニエールである。
この料理の美味しさを、しみじみと噛みしめる。
さらにエポールは、なんと優しく火が入っているのだろう。
いたいけな仔羊の肉体を壊さぬよう、柔らかく加熱されて、歯が抱き込まれるように入っていく。
どれもシンプルだけど、堂々たるフランス料理の香りがある。
元気をもらいにフランス料理を食べにいく。
そんな店は少なくなった。
「北島亭」にて。