肩に力が入っていない。
お汁を飲めば、なんの抵抗もなくすうっと入ってきて、すとんと落ちる。
うま味が静かで、よどみない。
しかしそのうま味は、飲みすすむほどにゆっくりと膨らんで、最後の一滴で頂点に達する。
この店のお椀が、たまらなく好きだ。
けれん味のない味わいが、たまらなく好きだ。
供され方も、押し付けがましくなく、高級食材でもさりげなく出す。
「〜〜でございます(どうだあ)」という意識が、まったくない。
大衆居酒屋のような無頓着さで、何気なく出すのだが、どれもしみじみとした美味しさがあって、心を打つ。
ああまたすぐにでも。お椀が飲みたくなってきた。
心斎橋「もめん」の「ゆずしんじょうのお椀」