艶やかな香り 2020.10.29 食べ歩き , 東京 , 白身魚 , すし Tweet ぶるるる。 口に入れた瞬間に、ブリが身震いした。 いや実際は震えてはいない。 ブリの放つ生命力に、舌が驚いて震えたのである。 それほどに脂が乗っている。 それほどに身がしなやかで、酢飯と舞いながら消えていく。 脂の品の良き甘みが舌を包む。 艶やかな香りが、鼻腔を揺らす。 まだ秋だというのに、滋養をとっぷりと蓄えたブリの力に撃ち抜かれた。 鮨さいとうにて。