ここ20年で、ラーメンほど多様化し、注目され、人気過熱した外食はない。その中で明治末期に登場し、昭和初期に広がったといわれる、醤油味がきいた「東京ラーメン」。マスコミへの登場は少ないが、控えめでさりげないうまさが身上の、東京文化を食べさせてくれる店をご紹介。
1948年創業。
三和土にパイプ椅子、手書きされた額入り品書き、60年の歳月を感じさせる時間が流れている。
ご主人津田次郎氏は97歳。息子さん夫婦とともに切り盛りされる。
昔から不変という「ラーメン」はなんと二百円。
澄んだ茶色のスープは、優しいうまみが染み渡る。
それに絡む麺は柔らかめの中細麺。
具は味染みた細いしなちく、昔ながらの固めの小ぶりなチャーシュー、ナルトに海苔と葱。
素朴ながら、うまさ控えめで、毎日食べても飽きない、学校帰りに百円玉握り締めて食べた、ささやかな贅沢がひっそりと息づいている。
閉店