優しく噛んで。

「もっと優しく噛んで」。
グッと歯に力を入れて肉を噛むと、そう言われた。
中国でもフランスでも、鳩は大抵丸ごと1羽で料理する。
丸焼きにし、丸ごとスープに仕立てる。
なぜなら、鳥と違って小さいからである。
いくら火を入れる時間が違うからといって、腿肉や、胸肉、ササミや手羽を捌いてから焼くのは、面倒くさい。手間がかかる。
しかしそこをあえてしようと考えたのは、日本人だった。
焼鳥ならぬ「焼鳩」である。
上海の日本料理店「佐々」では、週に1日だけ、焼鳩デーを設けている。
その日だけ、焼き鳥屋で修行した宮田さんが、串に刺した鳩を焼く。
なんと180日間という長期間飼育した鳩を焼く。
といっても、小さいので、ソリなら二羽分、ベタやセセリは、14羽分‼️1本の串に刺さっている。
その味わいは、まず脂のきれいさに目を丸くする。
飛ぶだけあって、小さくとも筋繊維のたくましさがある。
そして小さくとも。豊かな鉄分を感じさせる滋味がある。
つまりきれいなのに、たくましい。
小柄で美人のアスリートという感じなのである。
こりやあたまらない。
日本でも誰かやらないかなあ。
写真は順番に
ネギマ
かたにく
胸肉 穂紫蘇醤油漬け 圧巻。胸肉の熱い部分だけを串に。肉の圧倒感がある。
ハツ
手羽先骨抜き。クリクリとせせりのようで脂ある
手羽元 ネギの酢漬け
ペタ14羽
せせり14
ソリレス
ササミ
腿骨つき
肝 エロい。

2019-09-24