子供の頃から通っているから、もう半世紀になる。
旧軽から塩沢に移転して、3代目に変わっても、味は昔のまま、昭和の洋食である。
創業は昭和11年だという。
大正5年創業の京都の洋食店、レストラン菊水となんらかの関係があるのかな。
長い間通ってる割には、食べたことがないものが多くある。
ハンバーグも海老フライもシチューも、オムライスもカレーもカニコロッケも試していない、
大抵は、トマトクリームスープと、チキンカツかチキンソテーを頼む。
今はなき、虹鱒のムニエルも、美味しかったなあ。
骨抜きした虹鱒が、バターの香りとコクに包まれて、笑顔を呼ぶ味だった。
コックの人数が減り、「仕込みが間に合わなくて、やめました」。そう以前の女将が言われていたことを思い出す。
一度だけとんかつと裏メニューのラーメンに浮気したことはあるが、実に保守的な客は、今日もまた懲りずにチキンカツを頼んだ。
そして当たり前のように、おいしいなあとひとりごちるのであった。
揚げてから鉄板に乗せ、オーブンで焼いたチキンカツは、油が切れて、最後の一切れまで火傷しそうなほど熱々なのがいい。
一切れ食べては、ご飯を食べる。
この小さな喜びは、緩ぎない。
次回は、チキンソテーだな。