再びあら話。とはいってもまたクエである。巨大クエ。築地でキロ二万二千円、一体四十キロ、全長約二メートル弱、一体八十八万円、頭だけで四万円!! という高級魚である。
先日、銀座の老舗すし屋「寿司幸」にて、あらづくしの会が催された。
○昆布じめの握り
○腹身とトリュフの蒸し物○柚庵焼バルサミコ風味
○頭と腹身の煮もの
○鍋
○粕汁
筋肉の繊維が、人間なぞに食べさせるものかというように引き締まっていて、ただのデブではない風格と尊厳がある。
名横綱という感じである。
また、淡白ながら荒々しい(洒落じゃないですよ)滋味を主張させる、フグのジビエ版といった感もある。
そんなアラの身を生かして面白かったのは、粕汁と煮もの。
前者は粕の甘みがアラの強さと拮抗して妖艶な汁物になり、
ねっちゃり、くにゃり、つるりん、むっちり、ぐずぐず、ぷりりんと、皮やら白身やら目玉やら脂やら、様々な食感が唇やしたや葉や口腔で広がる煮ものは、官能的。
フォアグラやトリュフもそうだが、高級でおいしいものというのは、エッチなのです。