「コーンはちっとも弾けず、経営が弾けそうになりました」。
十勝で多品種小麦を作る前田さんは、そう言って、日焼けした顔に笑顔を浮かべられた。
「午前は、シニフィアンシニフェの志賀さんが来ていました」。
全国のカリスマパン職人やパティシェから、絶大な信頼を受けている前田さんは、雇用人のために冬の仕事を作ろうと、ポップコーン作りを思いついた。
アメリカまで視察に行き、自分で製造ラインを組み立て、コーンも大量に栽培した。
しかし寒い地域でのとうもろこしは、水分が多い。
いくら機械乾燥させても、弾け方にムラがある。
様々な試行錯誤を繰り返し2年が過ぎた。
その時、ある豆腐屋が、混合穀物乾燥方法という手法で、豆と小麦を混ぜて、小麦に豆の水分を吸わせる方法を聞き、トウモロコシに転用してみたらようやく成功した。
さらに「電子レンジでポップコーン」という商品を生み出し、今では、年間150万個を売るヒット商品となっている。
この前田さんの少年のような笑顔に秘められた、まっすぐな情熱が生んだ、きれいなきれいなポップコーンである。