できれば赤ウィンナーは、タコさんに切って欲しくない。
なぜなら細くなった足は、赤ウィンナーの存在感を弱めるからである。
赤ウィンナーを噛むと、普通のウィンナーと同じ皮が破けるプチッが少しある。
しかしその後が頼りない。
ふんわりでも、むにゅでもなく、歯は抵抗なき中身に出会ってうろたえる。
噛む気満々が、削がれてしまう。
だが、赤ウインナーのそういった態度がいいのである。
肉いっぱいですよとか、身を満たし張り詰めてますよという主張はあえてしない、さりげなさがいいのである。
もの足りない切なさといいましょうか、情けなさにこそうまさがある。
だから細い足にしてしまうと、その悲哀感が出ない。
妙に可愛らしいしね。
だからこうして出された時僕はこうする。
頭から食べるのである。
頭を食べて本来赤ウィンナーが持つ、情けなさをじっくり味わう。
残るのは細い足たちである。
これを2本ずついく。
マヨつけたり、ケチャップつけたり、七味つけたり、胡椒をかけたりして食べ、酒を飲む。
あるいはこのようにキャベツの千切りが添えられれば、キャベツ一本と足一本を合わせて食べる。
これは相当悲しくてよろしい。
また、酒の肴として長持ちするしね。
細い足をイジイジ食べ進むと、情けなさが助長して、酒がうまくなる。
こういうときゃ燗酒だね