歴史から学ぶというが、人間は忘れやすい。

日記 ,

1492年10月12日 バハマ諸島に3隻の船が到着した。
コロンブスが乗った船である。
スペインを経って39日後のことだった。
だがその時は、誰も気づいてはいなかった。
スペイン王と女王から1500億円の融資を受けて出発したこの旅が、2000兆円の利益を生み、スペインを大帝国に押し上げることを。
上陸すると、裸で格好良く友好的な先住民が挨拶に来た。
その態度と木製の武器しか持っていなかったことを見て、コロンブスは確信した。
容易にキリスト教徒にできるだろう。
容易に奴隷にできるだろう。
それは間違いではなかったが、コロンブスは知らなかった。
彼らがヨーロッパの病気、ごく普通の風邪でさえ免疫がなかったことを。
こうして人類史状最大の虐殺が始まった。
ヨーロッパ人との接触は、アメリカ先住民にとって致命的であった。
先住民は、天然痘、ペスト、はしか、チフス、インフルエンザなど14種類の伝染病に、次々とかかっていったという。
結果、1520年から1595年までの75年間で、メキシコからパナマにかけての死亡率は最低25%、最大で90%に達した。
メキシコでは、スペイン人が到着してから10年後に1千万人の先住民が減少し、100年後には、先住民の90%が減少した。
150万年前にアフリカから出て、世界に広まり、数10万年かけて、南米の南端までたどり着いた人類の多くは、たった100年足らずで消え去ったのである。
我々は日々、何を気にすることなく、トマトやジャガイモ、トウモロコシやカボチャ、唐辛子やチョコレートを食べている。
しかしその背景には、先住民たちの血塗られた歴史があることを忘れてはいけない。
現代も、グローバル化に伴ってバンデミックが一気に広がった。
16世紀のスピードとは比較にならない。
武漢の細菌研究所から漏れた。
中国が悪い。いやアメリカが流したなどいろいろな話が流れている。
しかしその前に、我々が意識しなくてはならないのは、コロンブス同様、人間の行動が起こしたことだということである。
環境破壊や大量消費が、自然からしっぺ返しを受けたのである。
歴史から学ぶというが、人間は忘れやすい。
コロンブスの教訓も忘れられたように、今回の教訓も忘れやすいかもしれない
だからせめて南米や中央アメリカ原産の、トマトやジャガイモ、トウモロコシやカボチャ、唐辛子やチョコレート、バニラやイチゴを手にした時は、教訓を胸に刻もうと思う。