はっきり言おう。
これは酒を飲みながら、つつく鍋ではない。
ご飯を掻き込みながら、食べる鍋だ。
久しぶりに両国「かど家」に出かけた。
20年ぶりだろうか。
入口の前に立ち
「よっ、久しぶり」と言ってみる。
といっても先方さんは、300年以上営業しているわけで、
「20年なんて昨日のことよ」と笑われた。
前回は夜に来て、したたか飲んだ記憶があるが、
今回は昼。
ぬる燗で、鍋の煮え頃を待っていると、ご飯が運ばれた。
鶏の腿肉の味噌がよくよくからんだところを、溶き卵につけ一口。
ああ、これはご飯だ。ご飯だと掻き込んだ。
肝は七味をはらりとかけて、卵には浸けずに。
焦げ茶に染まった白滝は、卵をたっぷりつけて。
葱は芯をだし、外の固い部分を食べてから、お楽しみ。
芯の柔らかい、中からにゅるりと出るおねばと味噌味を出会わせる。
いいぞ。
さて締めはどうしよう。
夜の締めはきしめんなれど、昼は飯。
まずは、汁をたらりとかけて掻き込んだ。
ハハハハハ。
一人笑って、汁をまたかけ、今度はよくよく混ぜ込んだ。
ああ、下品だなあ
うまいなあ。
味噌の底なし沼にずぶずぶとはまっていく。
ここで一計を案じ、卵をもらう。
鍋を再点火し、卵とじ。
ゆるゆるにしたけど、茶に染まって見た目はあまりよろしくない。
これを熱々ご飯にかけたのですね。
味噌親子丼。
どうだ。
ん。
むむ。
玉子の甘み加わり、味の濃さ倍加し、しつこすぎる。
こてこて。
何事もやり過ぎには、ご用心。
という話。
閉店