肉体はしっとりとみずみずしく、優しい甘みを伝え、皮はパリンッと命の張りがあり、ヒレは「さあ食べて」と叫んで、ビンと立っている。
こんな干物は、食べたことがない。
干されてもなお、海で泳いでいるときの、生命力に満ちている。
目でさえ、透き通っていて、とろんと甘い。
「干物の概念が変わる、素晴らしさでした」。
そう前田さんに伝えると、
「ありがとうございます。駿河湾と漁師さんのおかげです」と、答えられた。
それは海に、日本の海に感謝が浮かぶ干物なのである。
サスエ前田魚店のアジの干物。
こんな干物は、食べたことがない。
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