それは脇屋シェフの優しさだった。

「こんな時期ですのでぼくの大好きな、子供の頃味わった、むかし懐かしい東京ラーメンを再現します」と、締めはラーメンだった。

スープと麺、ネギだけの「光麺」である。

黄金色のスープは、滋味深く、澄んだ味わいだが、気取りすぎていない。

心に寄り添う、温かさがあって、一口すすると気分が穏やかになる。

体に力を漲らせながら、安寧を運んでくる。

そんなスープの中で。麺が静かに輝いている。

麺を啜って笑い、今夜も楽しかったねと、同席した友人たちと語り合う。