串カツはズルイ。
ただでさえおいしい食材を、香ばしい衣と油のコクをまとわせ、ソースを漬けて食べろというのだから、とてもズルイ。
これじゃあ、食べ過ぎちゃう。止まらない。
揚げた衣もいいが、ソースを“浸ける”という行為が、なんともいい。
熱々の衣を、ソースの海に浸し、ソース色に染める。
「オラオラ浸けちゃうもんね」と、凌辱しちゃう感覚がたまらない。
しかし串カツ素人だと、勇気が出ない。
タネを見て、どれくらいつけるのかを、瞬時に判断しなければならないのだが、できない。
まあ場数だろう。鍛錬だろう。
好みもあるが、牛や豚など味濃き肉系は根元まで浸けたい。
魚介や野菜は、少な目に浸けるのが基本である。
慣れてくると、片面浸け、3/2漬け、ローリング漬けなどの技を習得することができる。
もし少なかった場合は、次の串をたっぷりと浸け、前の串に垂らすという技もあるが、粋ではない。
串カツが好きなら、一回で決めよう。
ソース浸けがぴたりと着地した時の達成感が、また串カツをうまくする。
あと気を付けるのは頼み方である。
熱々がおいしいので、一回の注文は三本で我慢。牛、豚、赤ウィンナー、鶏など肉系を全体に散らし、その間に、野菜や魚介を挟む。
そうすると万遍なく、飽くことなく食べられる。
でも今回の「えいちゃん」のように、大阪大黒屋の串カツソースをベースに、三種をブレンドした、うますぎるソースや、きめ細かいパン粉で揚げた串カツを用意されると、いけません。
万遍なく食べても、食欲は収まらず、折り返して、再び同じものを注文してしまう。
これはとてもズルイ串カツである。