夏の終わりに、ガスパチョを飲んだ。
冷たいスープはまろやかで、舌にじんわりと、トマトの酸味や野菜の甘みが流れ、ひんやりと、静かに、夏の情熱が開いていく。
スプーンを潜らせれば、微かなトマトゼリーの下に隠れた、アーティーチョークのムースが顔を出す。
それはほんのりと甘く、優しく、野菜のエキスと抱き合い、気分を穏やかにさせる
ミキュイに火を入れた手長海老、胡瓜、フルーツトマト、カリカリにしたパン、とうもろこし。それぞれが役目を果たしながら、舌と歯にアクセントをし、スープを盛り立てる。
すべてが精妙に計算されて構築されながら、どこまでも自然で、舌をするりと抜け、体に染み渡っていく。
僕は、なんどもなんども余韻を噛みしめながら、夏に別れを告げた。
「エディションコウジシモムラ」にて。
夏の終わりに
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