マナガツオの語源は、味がいいところからカツオにマナをつけたという説や、これこそ本当のカツオ(真名)だとしてつけたという説がある。
スズキ目サバ科のカツオの仲間ではなく、スズキ目マナガツオ科属に属しているマナガツオとしては、嬉しくもあり、なんで私が姿も似ていないのにカツオと一緒にされるの? という、複雑な心境であろう。
しかし、うまい。
品がある。
そのマナガツオの料理は、フォークを入れるてはいけないような、気品が立ち登っていた。
切って口に運ぶ。
ああ、魚は、生き生きと滋味を広げながらも滑らかに崩れていく。
なんと均一な加熱だろう。
どこにも引っかかりがない、ムースである。
そして慎重に噛みこめば、濃密な海の滋養が流れ出る。
クラッシックなシャンパーニュソースの柔らかくキレのある酸味が、マナガツオの甘みを抱き込んで、優美にする。
そのひと時が、エロい・
堂々たるフランス料理である。
「マナガツオが素晴らしかったです」と、深谷博輝シェフに伝えると
「ありがとうございます。でもあれはマナガツオの力です。あのマナガツオが素晴らしいのです」。
僕はなにもしていませんと言わんばかりの口調で、言う。
惚れ込んだ魚に出会った喜びを笑顔に表しながら。
白金「アルゴリズム」にて。
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マナガツオの語源
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