電気を消すと、小さな小さな青白い光が、灯った。
消えゆくような弱々しい光だが、命の存在を歌う自由がある。
さっと茹で上げ、小鉢に入れた。
熱々の身体に、そっと歯を入れる。
今まで食べてきた茹でホタルイカの、プリッとした食感はない。
ふにゃりと崩れて、肝の甘い香りだけが鼻に抜けていく。
嫌みなものが一切ない純粋な味わいが、舌を清める。
小さき生物だけが持つ切なさがあって、消えゆく命の尊さを伝えながら胃の腑へと落ちていく。
神経を集中して味わなければ、するりと手の中から逃げてしまうような、はかない、無常の味である。
富山「ふじ居」にて。
電気を消すと
食べ歩き ,