矢守さんは、苗色の種を置いて、ゆっくりと石臼を回し始めた 2015.07.02 食べ歩き , 東京 , そば Tweet 矢守さんは、苗色の種を置いて、ゆっくりと石臼を回し始めた。 次第に薄緑の粉が挽き落ちていく。 粉をボールに取り、湯を入れて、渾身の力で棒を回し始めた。。 やがて粉が固まると、染め付けの小鉢に入れて、蓋を閉めた。 蓋を半分開け香りを嗅ぐと、だだ茶豆のような甘い香りがする。 口に入れると、噛むまでもなく、そばがきは淡雪のように消えていった。 命の脆さを伝える、かすかな甘さだけを残して。 月島「由庵矢もり」にて。