~子供の中の親〜
何度も何度も面を変えながら焼く、このシェフの肉料理は危険である。
堅い肉は固く、柔らかき肉はは柔らかく、焼く術と道理を知っている。
こまめにこまめに他の料理を作りながら、神経を配って焼いている。
なにしろ厨房は一人なのである。
昨夜はブルターニュの仔牛を焼いてもらった。
肉汁をたっぷりはらんで焼かれた孔子は、齧りついた瞬間「噛め」と叫ぶ。
子供のいたいけと親の獣性を入り混じらせながら、舌の上で躍動し、我々は慌ててローヌの赤を飲んだ。
蠣殻町「ラ・ピヨッシュ」にて。
~子供の中の親〜
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