駅弁の紐をとけば、ふた裏に海苔が二枚。
懐かしい光景に、思わず微笑んだ。
そおっと、ご飯の上に戻してやる。
海苔べん。
ご飯がとにかくうまい。
二時間後に夕食ゆえ、少し残す予定が、一粒残らず平らげてしまった。
海苔とおかか、間には昆布の佃煮が参画する。
おいしい定番は、だれが考え出したのだろう。
鮭も脂がのって、しっとりと口の中でほぐれていく。
玉子焼きは、ふんわりと崩れ、ほんのり甘い。
今まで食べた駅弁の玉子焼き史上、一番ではないか。
かまぼこも上等。
駅弁三種の神器が真っ当な弁当は、胸がすく。
のり弁で880円は高いと思ったが、そんなことはない。
誠実な作りに、ごちそうさまとふたを閉めた。
郡山、福豆屋。
社名もいい。
弁当の味もその名の通りと、うなづいた。