「さてようやく折り返し地点です」。
前菜5皿 魚料理1皿、肉料理1皿、チーズ料理1皿を食べ終えた時、出された1枚の紙には、そう書かれていた。
「おなかの余裕はありますか? これから11品のデザートを一度にお持ちします。コンセプトは『ケーキ屋さんで大人買い』です」。
大皿にずらりと並べたケーキ皿が運ばれた。
どれもが練りに練られた工夫があるオリジナルであり、精妙に味が考えられている。
唸り、笑い、声をあげ、目を閉じ、微笑む。
夢に連れて行かれる、非日常があった。
例えば、再構築したパンオショコラは、小麦粉をローストしてから砂糖と混ぜ合わせて、香りを強調し、ビターチョコレートのムースにイースト!!のアイスクリームと合わせる。
三つを合わせて食べれば、まさしくパンオショコラの味が、より香ばしくなって広がって行く。
「実際はこうです」と、パンオショコラをガラス皿に乗せて見せるのが、なんともおかしい。
シャンティの甘みとダコワースの香ばしさ、ルバーブの酸味が交差するモンブラン。
エキゾチックなトンカ豆の香りが魅了する、トンカ豆とショコラのクレープ。
バラのソースをかけたブランマンジェ。
キャラメリゼ下アメリカンチェリーとパイ生地に、キルシュ風味のクリームを合わせたもの。
ああ、夢は果てしなく続く。
西麻布「Takumi」日本で修行経験のない29歳、大槻卓伺シェフの卓越した料理の話は、また今度。
「さてようやく折り返し地点です」
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