水の国の料理である。
舌にのせれば、ふんわりと、ムースのように溶けて、夢見心地を運ぶ鮭の身と、高熱真空調理で、ホロホロと崩れてゆく骨に驚き、胡瓜を食べる。
胡瓜は、皮と肉共に大きさがバラバラに切ってある。
そのため咀嚼回数が増え、味が濃くなる。
ああ、この皿の主役は胡瓜なのだ。
脆弱に、繊細にしあげたサーモンが、胡瓜の野生を、生きる力を強調する。
清澄な山奥の空気が、口の中に訪れる。
洗い、清め、神々しさを残して去っていく。
しかしそれだけではない。
ここに勝山さんが選んだ、トスカーナの白を合わせたら、胡瓜の苦みと白に潜む微かな苦みが共鳴し、胡瓜の命が爆発してさらに山奥に拉致され、余韻にほのかな艶を残してしまう。
軽井沢クーカル 信州の食材を使った奥田シェフのディナー
「潰した胡瓜と信州サーモンの身の43度C調理と骨の125度c調理」
水の国の料理である
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