飛騨高山にハワイ。
高山の屋台村「でこなる横町」に入り口に、「ハワイ郷土料理」なる赤提灯がかかっていた。
のぞくと店主は、日本人のようであり、外国人のようでもある。
なぜにこの山奥でハワイ? と思いながらメニューをみれば、鹿や猪、鶉やほろほろ鳥が並ぶ.
店名は「モーガンズ・ジビエ・バー&グリル」。
むう増々謎は深まる。
入れば「How are You」。むくつけき男性が挨拶する。
どうやら日本語がほとんど出来ないらしい。
ロミロミサラダに鹿のたたきメダリオンを食べ、ハイネケンを飲む。
店主は日系のモーガンさん。ハワイ在住だったが、縁あって高山で店をだすことになった。
ボディビルチャンピオンだったそうである。
ヒッコリーで燻したというスペアリブBBQはいの猪肉。柔らかく甘く、ほんのり燻香が効いたところに、甘酸っぱいアメリカ風BBQソースがかかって、ああここは日本じゃない。
実はモーガンさんの家系は、代々料理人で、元は宮内庁御用達であった「宝亭」のシェフだったそうである。
「宝亭」といえば、明治時代、「精養軒」「富士見軒」「中央亭」「東洋軒」とならぶ高級レストランとして知られ、夏目漱石がグリンピーススープを好んだ店としても知られている。
確か外神田の「松栄亭」の初代は、「宝亭」出身だったはずである。
最後にモーガンさんの写真を撮らせてもらうが、堂々たる体躯。「でこなる横町」とは、「でこうなる=大きくなる」という高山の方言だが、十二分にでこなったモーガンさんは、店を「でこなる」するために、毎晩料理に励んでいる。