隠れうどん県高知の実力2 <うどんとパリの関係>国虎屋の巻

食べ歩き ,

食べても食べても、減らないカレーうどんがあるという噂を聞いて、安芸市にやってきた。

国道沿いに店を構える、「国虎屋」である。

まだ昼前だというのに、次々と車が入ってくる。

お客さんたちは、皆カレーうどんを食べるのだろうか。

店内に入れば満席で、あらゆるお客さんがうどんを楽しんでいた。

温かいうどんと冷たいうどんを分け合っている親子連れや、ざるうどんやカレーうどんを取り分けて食べているカップル。

うどんが来る前に、おでんを肴に一杯やっている、ベテランらしきおっさんと、様々である。

まずはうどんの実力を試そうと、シンプルな「ざるうどん」を注文した。

顔がいい。

運ばれて来たざるうどんは、艶々と輝き、切り口が凛々しく立っている。

食べれば、讃岐うどんほどコシが強くないが、歯を押し返そうとする根性があって、15回ほど噛むと口の中から消えていく。

そして最後にほんのりと甘い香りが残る。

 

次に、いよいよお目当の「カレーうどん」がやって来た。

写真ではその大きさはわからないかもしれない。

だが、丼と箸の長さを見ていただきたい。

普通のうどん屋の丼の1.4倍近くはあるだろう。

カレー餡をまとったうどんが、口に登って来る。

うむ。

うまいのだが、確かになかなかなくならない。

店主の野本千喬さんに聞くと、うどんだけで450gもあるという

しかも初代の時は500gもあり、残す人もいたので、少し少なくしたという。

今は、老若男女どの方も、つるりと平らげている模様である。

高知県人のうどん食いみゅりょくは、あなどれない。

 

さて、「国虎屋」のもう一つオススメを紹介しよう。

スペシャリテの「国虎」である。

味噌味のうどんで、その味がなんとも優しい。

ゴボウと豚脂の香りが、味噌味に溶け込んで、心が温かくなる。

土佐清水の宗田節を中心とした出汁に味噌、それに豚肉や玉ねぎの甘みも加わって、ぐんとうまくなる。

一番人気だという。

 

「国虎屋」は創業して37年になる。

ご主人に「何代めですか?」と聞くと、「2.5代目かなあ」と微妙なことをおっしゃる。

初代はおじいちゃん、二代目はおじさんだったが、次いですぐにフランスに渡り、パリのオペラ座近くで「国虎屋」を創業したのだという。

パリでも人気を呼び、今では4店舗を展開されている。

実はパリ用に作ったというカップうどんも お土産として売られている。

その名も「てぬきうどん」というが、味噌スープの味といい、うどんのコシ感といい、カップ麺のレベルを超えている。

カップ麺としては、ややお高いかもしれないが、価値がある。

よし今度行く時は、まず自家製の七味を練り込んだこんにゃくおでんなどでいっぱいやってから、うどんを食べ、「てぬきうどん」をこじゃんと買って、お土産で配ろう。