迷わず買った。
敬愛する荻野屋の、「復刻幕の内弁当」である。
「当社に残る最古のレシピを再現しました」と、HPには書いてある。
有名な鉄橋を渡る電車と切り立つ妙義山の絵と、「旅装は御身軽に」にと書かれた掛け紙も復刻。「御弁當」の文字が、時代を映す。
筍、椎茸、蓮、人参、蒟蒻、笹がき牛蒡の煮物。胡麻がけご飯。豚の照り焼き、鮭の塩焼き、大根味噌漬け、ぱりっこ漬け、生姜酢漬け、昆布巻き。
幕の内弁当、三種の神器、焼き魚、玉子焼き、蒲鉾のうち、二つがない珍しい弁当である。
さてこういう初めて食べる弁当の場合、どこから食べるかという問題がある。
まずそれには、安全なおかずとリスクの高いおかずに仕分けしなければならない。
筍、椎茸、笹がき牛蒡。これは釜飯に入っているものと同じであるから、まず安心である。
蓮、人参、蒟蒻、昆布巻き。これらも大丈夫だろう。
鮭の塩焼もリスクは低い。危険度が最も高いのは、豚の照り焼きである。
このように仕分けをし、安全度の高いおかずを最初の一口と最後の一口に分散し、危険度の高いおかずをのぞいた形でご飯との配分を計算する。
しかしこの場合ご飯喚起力が強いのは、鮭の塩焼、豚の照り焼きであるからその一方でご飯を食べないというのは、非常に計算が難しい。
途中でケッコウうまいということがあっても、それは嬉しい誤算である。
さて。ということで、まずは筍に手を出した。
最後の一口は椎茸に決めた。
ああ今回、残念ながら誤算はございませんでした。
<駅弁勝負>第17番 迷わず買った
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