農耕民族の食欲に 火をつける。

食べ歩き ,

「野菜が主役」のレストランが増えている。

登場するのは、いま流行の甘いだけの野菜ではない。

甘みや酸味、苦味や渋み、土のぬくもりや太陽のにおいが、

みずみずしさの中から弾けて胸を突く、野菜たちだ。

それらが、切られ、叩かれ、合わされ、火を通され、持ち

味を存分に曳き出されて、迫ってくる。

太くたくましい味わいに、うなり、快哉を叫び、笑い出し、

満ち足りた気分となって安寧を呼び、農耕民族の食欲に

火をつける。