煙は生きている。

日記 ,

煙は生きている。
それは人間と自然の摂理との闘いに揉まれて、喜んでいるようでもあった。
有田ふぇすで年一回釜公開される窯焚きを見た。
しん窯、源右衛門窯、柿右衛門窯、深川製磁窯。
どの窯元も、運よく1200度以上温度を上げる、「せめ焚き」の最中だった。
職人が炎を見ながら、赤松の薪を投げ入れていく。
焦っても、のろくてもいけない。
炎と折り合いをつけながら温度を上げていく。
最適の温度だと見切ったところで、空気を切る。
有田焼きの透明度と発色の美は、この灼熱と酸素を支配してこそ生み出される。
「焼き物」という言葉の真意がここにある。