海の神秘が生む甘み。 2012.12.19 食べ歩き , 石川 , Tweet 甘エビは名前で損をしている。 最初から甘いと決めつけないでほしい。 そう本人も思っている。 今では夏にも見かけるが、甘味をますのは冬だろう。 寒風にさらされる頃、金沢は近江市場の食堂に飛び込み、甘エビを頼む。 なにもつけずに口に放り込み、口をすぼませ身をしごき、ゆっくり押しつぶす。 外気を映したような冷たい身が、ねっとりと海の神秘を滲ませる。 そこには間違いなく、「甘い」という言葉だけでは計り知れない、命の躍動がある。