「焼き2でぇす」。「焼き4でぇす」。
次々と焼き餃子の注文が入る。
ここは武雄市民のソウルフード、「餃子会館」、愛称「もしもしラーメン」である。
休みの昼には家族連れやカップルで行列が出来る、人気店である。
かのホワイト餃子で修行を積み、武雄で店を開いたという。 ラーメンと餃子、ビールを頼んだら、「ビールは一緒にお持ちしますか❓」と、ビールのタイミングをきかれ、餃子の注文だけを先に通した。 すると餃子ができる寸前に、ビールが来て、一杯目を飲んだ頃合いに餃子が運ばれる。 王将もこの辺りを見習って欲しい。 「私は家でテレビを見てるわ」と、妻に言われたのだろう。 父と息子連れ、中年男1人が多い。 隣の推定50歳男性は痩せているが、飢餓状態なのだろう、みそラーメン大盛りに餃子2人前という猛者である。 タレは、醤油と酢にラー油の定番が多いが、隣の猛者は、小皿に並々と醤油だけを入れて、たっぷりつけてたべている。隣の親子連れは、酢醤油にゴマを振り入れている。 酢コショウは見当たらず、まだ九州には広まっていないのかもしれない。 もしもしラーメンは、電話型器に入れられるのでも、頼むと店員が「もしもし」と言葉を返すのでもない。 電話をしながらラーメンを作るのても、NTTの経営でもなかった。 少し臭みのあるトンコツラーメンである。 麺は柔く、やや太く、博多の人には認められないタイプである。 いわゆる焼いたというより、揚げたに近いホワイト直伝の餃子は、その丸い形と、ガリッとした皮以外に、個性はない。 地元の人がやるというのを真似て、最後の一個をラーメンに入れてみた。 しばらくおいて食べると、皮にスープか浸透してふにゃりとなり、かつガリッととした部分はわずかに残っている。 その微かなプライドと、柔くなった頼りなさが、どうにもわびしくて、うまかった。