昨夜は夕食を二回食べた

食べ歩き ,

昨夜は夕食を二回食べた。
まずはハワイのグルメ王ショーンに連れられて、フレンチ×エクアドルの店「グローディン」にいく。
エクアドルだけではない。様々な食文化のエッセンスが入った。
フランス料理出身にも関わらず、フランス料理に各国の食文化エッセンスが加えた料理ではなく、各国食文化にフレンチのエッセンスを加えている点が面白い。
例えば「野生猪のレンダン」である。
れっきとしたインドネシア料理(猪はやらないけどね)なのだが、レモングラスの香りが効かせてあり、クローブなどの香りなどを、巧みに混ぜており、ソースが深く洗練されているので、どこにもない料理となっている。
または鴨足のコンフィをメキシコ風モレソースで味付けし、香菜やライム風味のクリームとクレープに巻いた前菜は、モレの苦みと甘み、鴨肉の滋味、クリームのコク、香菜の香りが絶妙なところで均整がとれて、素直においしいといわせる。
さらに完璧にポワレされたスズキに、ほのかに甘くとても辛い、黄色いアヒマリージャのソース。これなどフランス×ペルーである。
かと思えば、自家製ベーコンのサラダの主役はベーコンで、豚脂の甘み強めな燻香が、チャイブを生かす。
どこがエクアドルでんねん、という突っ込みはあるものの、タイ、ベトナム、ペルー、メキシコ等の料理のエッセンスを巧みに使っている。
でもそこには、よくある新しい料理で脅かそうという気配はなく、フランス料理の前に世界各地の料理文化への敬意が滲み出ていて、胸がすく。
そこへフランス料理のエスプリを導入して、自然な、食材を生かした料理へと完成させている。
バカンスに来ていてこんな事を書いてしまうのなんて、職業病だなあなんて想いながらも、存分に楽しんだ。
「ここはデザートはたいした事ないから、MWに行って、デザートだけ食べませんか」と、シェーンが悪魔のささやき。
「もちろん」とMWに向かうが、ここでデザートどころか前菜も食べた上に、大量のデザートを食べるなんて、シェーンも僕も知る由もなかった。