斉須シェフのそれが、しとやかな日本女性の品だとすれば、パコーシェフのそれは、溌剌とした色気を漂わす女性だろうか。
「ランブロワジー」で、「赤ピーマンのムース、トマトのクーリ」がメニューに載るのは、珍しいという。
そう聞いちゃ、頼まざるを得ない。
トマトのクーリーは、太陽の匂いを発散させながら力強くトマトと赤ピーマンのジュレは、柔らかな酸味を広げる。
そして赤ピーマンのムースは、どこまでも優しく、甘い香りを口に残す。
激しい恋を求められながら、母親のように抱擁される。
そんな瞬間にもてあそばされながら、僕は溶けていく。