ペルドロールージュ

食べ歩き ,

ペルドロールージュ、リエーブル、グルーズ、ピジョンラミエ、ロニョン、カナールソバージュ。
メニューを開いた瞬間に「落ち着いて」という声がどこから聞こえてきた。
「食べられなくとも自分が食べるから」と、意味不明な説得を家族にして片っ端から頼む。
しかしながら、リエーブルの入荷は今日はなし、森バトはあきらめてパンタードにするも、ロニョンとペルドローは通す。
前菜の良く出来た、ジロール茸や他の茸の軽い煮込みとポーチドエッグで盛り上がった後に、お鳥様が現れた。
茸ソースにまみれたペルドローは、茸の香り漂う森の奥で餌をついばむ姿を想起させて、鼻から出る息が粗くなる。
噛めば胸肉は優しさの中にそっと野生を忍ばせ、もも肉は全身これ血ですという鉄分に満ちて、我の中の食欲を鼓舞する。
当然、脳みそも食べましたよ、伊藤君。
そして玉葱ソースにまみれたロニョンは、なぜか一個で他は肉、「これは臭みがあるから、君たちはホロホロ鳥を食べていなさい」と、その貴重な一個を死守するも、羨望の眼差しに絶えきれず、少し分ける。
「おいしい。匂いなんかないよ」の言葉に、嬉しいが複雑な気分。一個のロニョンを切り分け、シェアしながら、ちびちび食べる。
ああ、これぞフランス。
「シェ・ラミ・ジャン」にて。