クエと焼き野菜。ピルピルソース添え。
「皮はカリカリで身はしっとり」とよく表すが、そんな次元ではない。
皮は熾火の力によって、クリスピーの限界まで水分を飛ばしながら、味と香りを凝縮させている。
身は先ほどまで泳いでいたかのように、しなやかながら生暖かく、優しい甘味に満ち満ちている。
皮で鼓舞され、身で癒される。
両極の感覚を突きつけられた人間は、頭を垂れ、笑い、充足のため息をつくしか出来ない。
人間の無力をも感じながら、シェフの仮借なき個性と、クエに感謝するしかない。
元町「ヌーダ」。